米トラック運賃底入れ、過剰供給解消で荷況回復の兆し
米トラック市場で4年間続いた荷況低迷が終息に向かい、過剰供給の是正で運賃下支えが強まっている。

米国のトラック運送市場で、過去4年間にわたり業界の収益成長を圧迫してきた荷況低迷がようやく終息に向かっている。証券投資会社TDコーウェンのマネジングディレクター、ジェイソン・サイデル氏は「景気後退という言葉が多用されるが、荷物そのものが常に悪かったわけではない。過剰な供給が継続的な問題であり、運賃の低迷と業績不振を招いた。これは供給側の問題だ」と指摘する。市場では供給調整が進み、主にトラックロード(TL)市場で長く続いた供給バブルがゆっくりとだが確実に縮小している。
供給調整には規制要因も寄与した。連邦政府の要請を受けた各州が、居住地外のドライバーに対する商業運転免許(CDL)の更新停止や不更新を実施したほか、英語能力要件の影響や、不正なCDL教習所に対する政府の取り締まりがドライバー数の減少につながった。しかし最大の要因は単純な経済原則だった。供給過剰期には、1〜5台規模の小規模事業者が、燃料費や維持費、保険料などの営業費用をまかなうためだけに極端な低運賃で荷物を引き受け、収支トントンを目指して価格を押し下げていた。
これらの事業者はまた、銀行口座に残る新型コロナウイルス救済資金を切り崩して生き延びていたが、そうした資金が尽きるにつれ市場から撤退が続いた。その結果、運賃の下値が固まりつつある。業界アナリストによれば、スポット市場のTL運賃の上昇傾向や、荷主からの輸送依頼に対する拒否率の上昇がその証拠だという。
回復はドライバンなど多様な輸送分野に広がっている。LTL(小口混載)大手オールド・ドミニオン・フレイト・ラインの執行副社長兼最高執行責任者、グレッグ・プレモンズ氏は「確かに回復の芽が見えている。これまでのところ主に供給主導の回復だ」と話す。供給バブル期には、重量のあるLTL貨物がTL貨物として扱われるケースが増えていたが、プレモンズ氏は「本来TL事業者が好んで運ぶ荷物ではない。過剰な輸送力を活用しコストを回収するために引き受けていた」と振り返る。しかし、こうした流れは現在反転しつつあり、市場構造の正常化が進んでいる。
供給過剰の解消は、運賃水準の安定を通じて荷主と運送業者の双方に恩恵をもたらすとみられる。荷物の量自体の回復ではなく供給調整が主因であるため、回復の持続性にはなお注視が必要だが、業界は長い低迷期を経て、ようやく収益環境の改善への期待を強めている。今後は、経済全体の需要動向と、供給調整のペースが回復の軌道を左右しそうだ。