ノルウェー、ロシア船拿捕 ナフトガスへの賠償執行
ノルウェーが北極圏スバールバル諸島沖でロシア船を拿捕し、ウクライナ企業ナフトガスが求める賠償金42億ドルの執行に乗り出した。

ノルウェー当局は現地時間22日夜、北極圏スバールバル諸島沖でロシア船「プロフェッソル・モルチャノフ」号を拿捕したと発表した。ウクライナの国営エネルギー企業ナフトガスがロシアによるクリミア併合後の資産接収を巡り獲得した賠償金42億ドル(約6300億円)の執行を目的とする。拿捕はノルウェー沿岸警備隊との24時間に及ぶ対峙を経て実行された。
拿捕された船はスバールバル諸島最大の島スピッツベルゲン島のバレンツブルク港に係留されている。バレンツブルクはロシアが運営する石炭採掘集落で、船にはロシア人科学者らが乗船していた。スバールバル総督府は声明で「船を押収し、同地で拘束する。総督は乗船中の乗組員と乗客を保護する」と述べた。
ロシアのニコライ・コルチュノフ駐ノルウェー大使は声明で「船の即時解放と乗客・乗組員の安全確保を求める。法的手段を通じて解放を追求する」と表明した。乗船者数は明らかにされていないが、拿捕は科学者らの活動には影響を与えていないという。
ナフトガスは2016年からクリミアでの資産収用に対する賠償を求めて法的措置を続けてきた。2023年4月、ハーグの仲裁裁判所はロシアに対し、ナフトガスへ42億ドルと利息、訴訟費用の支払いを命じていた。ナフトガス暫定CEOのセルギー・フェドレンコ氏は「ロシアは国際仲裁判断に従わないことで責任を逃れることはできない」と述べた。
スバールバル諸島は1925年からノルウェー領で、1920年の条約によりロシアを含む加盟国の国民は査証なしで居住できる。ノルウェー政府はロシアによる仲裁判断の不履行が続く中、同諸島での船の拿捕という強硬手段に踏み切った。ロシア側は拿捕の長期化を懸念しており、両国間の緊張が高まる可能性がある。